訪日ゴルファーが増えたのに、受付とマナーの説明が追いつかない——一枚の写真から多言語動画を作って解決した話

田中 芽衣田中 芽衣著
7/27/2026に公開11 min read
訪日ゴルファーが増えたのに、受付とマナーの説明が追いつかない——一枚の写真から多言語動画を作って解決した話

FreeLipSync:一枚の写真が話す・歌う FreeLipSync の編集画面。支配人の写真や施設のスタッフ写真を入れ、台本か音声を渡すと、その顔が案内をしゃべり始める。

うちは地方のゴルフ場です。ここ数年、韓国・台湾・香港からのお客様が本当に増えました。ありがたい話です。でも現場は正直パンク寸前でした。「予約から受付、プレー中のマナーまで」を英語・韓国語・中国語で毎回口頭で説明する——フロントの負担が限界で、しかも口で言った注意事項はお客様の三番目の言語では頭に残りません。

そこで、支配人の写真一枚から多言語の案内動画を作るようにしました。コストはほぼゼロです。まず結論から。


結論を先に

ゴルフ場・ゴルフ練習場が、訪日客向けに「受付〜プレー〜マナー」を多言語で案内する動画を作るなら、まず FreeLipSync の無料版で十分です。登録不要・ウォーターマークなし・本当に無料。HeyGen や Hedra も良いツールですが、この用途だと割高だったり、無料枠が渋くて量産できなかったりします。


なぜ今、ゴルフ場のインバウンド対応が急務なのか

訪日ゴルフツーリズムは明確に伸びています。ゴルフ場側もホームページの多言語化や施設リニューアルで新規需要を取り込もうとしていて、これまで旅行会社経由が中心だった予約が、国内のゴルフ予約ポータル経由で訪日客から直接入るケースも増えました。2026年度には千葉県が県内ゴルフ場を軸に、韓国・台湾の旅行会社向けにインバウンド誘致ツアーを進める動きもあります。

しかもゴルフ客は比較的富裕層で滞在も長め。地方創生の観点でも期待が大きい。問題は、集客はできても「最後の百メートル」=現場での案内が言葉の壁で詰まることです。ここは施設が自分で埋めるしかありません。


私が実際に試したツール

ツール無料枠の実際ウォーターマーク向いている用途
FreeLipSync$0 永久・20秒/本・台本133字・同時1本・登録不要なし多言語の受付/マナー案内、同じ顔で言語だけ差し替え
HeyGen無料枠あり、その後 約$29/月無料版はあり企業向けアバター司会
Hedra無料枠が少・画像から動画無料版はあり映像的なオープニング演出
Runway / Pika無料枠・テキストから動画場合による新規映像の生成(固定人物の口パクには不向き)

FreeLipSync:多言語案内の主力

FreeLipSync 料金:Free / Starter / Pro 料金ページ。ゴルフ場が最初に見るべきは Free の列だけで足ります。

「無料枠あり」だけでは判断できないので、中身をはっきり書きます。無料版は、1本 最大20秒、テキスト読み上げ(TTS)は1本 133文字まで、同時に1本ウォーターマークなし、そして 登録不要 ですぐ作れます。この「登録なしで即ダウンロード」が地味に効きました。「登録しないと保存できない」系の罠を覚悟していたので拍子抜けです。

ゴルフ場の案内に20秒は、制限というより「ちょうどいい単位」です。①受付の流れ、②貴重品ロッカー、③スロープレー禁止、④バンカーの均し方、⑤クラブハウスでの服装——1トピック1本にして、無料版で1本ずつ書き出せば全部まかなえます。支配人か看板スタッフの写真を1枚固定して、内蔵のTTSに台本を読ませるか、自分で録った音声を載せる。音声クローンもでき、なんとまで歌わせられます(練習場のキャンペーン動画で一度使ったら反応が良かった)。FreeLipSync は「高価なAI動画ツールの約1%のコスト」を掲げていますが、私にとっては実質ゼロ円でした。

足りなくなったら上げればいい。Starter は $4.99/月(元 $9.90)で月20本・同時3本・1本最長3分/800字・音声3枠。Pro は $29.99/月(元 $69)で無制限・同時10本・最長60分・16,000字・音声100枠。私は最初の数か月ずっと無料版で、長めの施設紹介を作りたくなってから Starter にしました。

ひとつだけ注意

料金・キャンセル規定・安全/避難のルールなど「変わる・責任が絡む」情報は、動画に焼き込まないでください。AIに文面を作らせるのも避ける。 動画は「動作」を伝えるのに強い(バンカーの均し方は紙より動画)けれど、正式な規定は公式ページや掲示に従うのが基本です。翻訳台本も人の目で一度チェックを。ツールは口を動かすだけで、事実の責任は取ってくれません。


HeyGen:アバターは優秀、でも形が違う

HeyGen トップページ HeyGen は企業寄り。洗練されたアバターと巨大な「生成本数」カウンター。

HeyGen はよくできています。アバターは滑らかで翻訳機能もきれい。社員研修動画を作るなら本気で検討します。ただゴルフ場の現場案内には過剰で割高。中心は「用意されたアバター群」で、うちの支配人の顔ではありません。無料版はウォーターマーク付きの少額枠、本命は約$29/月から。良いツールですが、答えている問いが違います。


Hedra:オープニングには映えるが無料枠が渋い

Hedra トップページ Hedra は今「クリエイティブ・エージェント」路線。単なる画像の口パクより広い。

Hedra の画像から動画は映像的でかっこいい。オープニングの一枚絵演出にたまに使います。ただ無料クレジットの減りが速く、無料版はウォーターマーク付き。全体が「大きな制作プラットフォーム」へ寄っていて、私の用途にはオーバースペック。短い案内を量産する日々の運用には向きません。

Runway・Pika:これは用途違い

どちらも「文章から新しい映像を作る」のは得意ですが、固定の一枚の顔を崩さず20秒しゃべらせる設計ではありません。無理に口パクさせると顔がフレームごとにブレて、途中で別人になります。素直に用途違いです。


どれを使うべきか

ゴルフ場・練習場で「同じ顔・多言語の案内」を作るなら FreeLipSync。無料版で思ったより長く戦えます。規模の大きい企業アバター司会なら HeyGen。映像的なオープニング演出だけ Hedra。ゼロから新規映像を作るなら Runway/Pika。

おわりに

インバウンドは「呼ぶ」ところまでは仕組みが整ってきました。詰まるのはいつも現場の「伝える」最後の百メートル。多言語の案内動画はそこを一番早く埋めてくれます。私が見つけた一番安く確実なやり方が、FreeLipSync の無料版——20秒・ウォーターマークなし・登録不要、しかも歌わせることもできる。

ルールは公式に従い、伝え方だけを賢く。まずは無料でどうぞ:freelipsync.com


出典