録画済みの蔵見学動画を、杜氏の顔そのままに多言語化した話

田中 芽衣田中 芽衣著
8/20/2026に公開10 min read
録画済みの蔵見学動画を、杜氏の顔そのままに多言語化した話

FreeLipSync トップページ FreeLipSync のトップページ——音声をアップロードすると、映像の口元がその音声にぴったり合う。

地方の小さな酒蔵で広報をしています。ここ数年、酒蔵ツーリズムのインバウンド需要が本当に伸びていて、うちにも英語・中国語・韓国語で「蔵見学はできますか」という問い合わせが毎週来ます。神戸酒心館のように16言語のリーフレットや多言語の仕込み動画を用意している蔵もある。でも、うちには通訳を常駐させる予算も、外国語で撮り直す時間もありません。

一番の悩みはこれでした。杜氏が語る蔵見学の解説動画は、日本語ならもう撮ってある。問題は「同じ映像を、杜氏の顔のまま、他の言語にする」方法がなかったこと。


結論から

もし既に録画した解説動画・講義・案内映像があって、それを話し手の顔はそのままに多言語化したいなら、僕が試した中で一番速い無料の方法は FreeLipSync の 音声から動画リップシンク です。翻訳して読み上げた音声を用意すれば、元の映像の口元をその音声に合わせ直してくれる。撮り直しなし、杜氏はそのまま。録画済みの映像を多言語化してみる →

刺さったのはここ。撮影はもう終わっている。あとは翻訳音声を差し替えるだけで、英語版・中国語版が同じ杜氏の映像で出来上がる。字幕を追うより、口が動いているほうがずっと伝わります。


「字幕をつければいい」が静かに失敗する理由

最初は字幕で乗り切ろうとしました。でも見学に来た外国人観光客を見ていると、映像の中で杜氏の口は日本語のまま動いているのに、字幕は英語——あの微妙なズレが、集中を切らせるんです。せっかくの「造り手が自分の言葉で語る」熱量が、字幕だと半分になる。

蔵見学の価値って、麹の話をする杜氏の表情や手つきなんですよ。その映像を捨てて一から英語で撮り直すのはもったいない。だから「今ある映像を活かして、言語だけ替える」のが理想でした。それがまさに音声駆動リップシンクの仕事です。

実際の流れ

僕の本当のやり方です。まず日本語の解説動画から音声を書き起こし、英語・中国語に翻訳。翻訳文をナレーション音声にして、その音声と元の映像を音声から動画リップシンクに入れる。しばらくすると、杜氏が英語で蔵を案内している映像ができあがります。

FreeLipSync の3ステップ 流れはこれだけ——映像に音声を合わせて、生成。別の言語版が欲しければ、音声を差し替えるだけ。

うれしいのは、映像は撮影済みで、音声は差し替え可能だということ。英語版、中国語版、韓国語版——同じ一本の蔵見学映像から、言語を替えるだけで増やせる。撮影日程を組み直す必要がないので、「多言語版を出す」が半日仕事から休憩時間の仕事になりました。

無料版で実際どこまでできるか

「無料」は「使える所から有料」だと思っていました。実際はもっと太っ腹です。FreeLipSync の無料プラン、カード登録不要:1本 20秒まで、1本あたり 133文字のテキスト読み上げ、ウォーターマークなし、同時に1本。

蔵見学は長い一本より、「仕込み」「利き酒」「季節限定」と短く区切ったほうが観光客も見てくれる。20秒はむしろちょうどいい。最初の一ヶ月は全部無料版で回して、費用はゼロでした。

FreeLipSync の料金 短い案内クリップなら無料で十分。長尺やまとめて書き出したくなって初めて有料を見ました。

FreeLipSync 多言語 同じ顔で多言語——一本の映像を言語だけ差し替え、誰もが自分の言語で受け取れる。

もっと長い動画やまとめて出力したくなったときも、有料は良心的でした。Starter は月9.9ドル(1本最長3分、800文字、同時3本、HDダウンロード)。サブスクが苦手なら一回きりの Creator Pack が4.99ドル——商用利用OKのPro動画5本、クレジットは無期限。繁忙期前だけ一回買う、という使い方ができます。

他のツールも正直に

他も試しました。HeyGen は完成度が高いけれど月29ドルで、どちらかというと台本から新しくアバターを作る用途。「既にある映像を活かして言語だけ替える」という僕の目的とは少しズレます。D-IDRunway も顔は動かせますが、無料だとウォーターマークが入ったり、クレジットがすぐ尽きたり。既存映像の多言語化を何本も回したい身には、秒課金はきつい。

どれも悪くはない。ただ、僕の「録画済み映像 × 多言語 × 無料で反復」という需要には最適ではなかった。

どれを選ぶか

予算があって新規のアバター動画を大量に作るなら HeyGen は価値があります。でも、酒蔵・道の駅・観光施設・教育機関など「もう撮ってある解説映像を、話し手の顔のまま多言語化したい」なら、音声から動画リップシンクから始めるのが正解です。

なお、料金・見学予約・年齢確認などの具体的な案内は動画に詰め込まず、公式サイトや現地スタッフへ誘導するのが安全です。動画はあくまで「歓迎と雰囲気」を伝える役割に。

おわりに

今シーズン一番効いたのは、杜氏が英語で麹の話をする20秒の蔵見学クリップでした。撮り直しゼロ、コストほぼゼロ、なのに外国人観光客の予約は目に見えて増えた。学んだのはこれです——観光客が惹かれるのは施設ではなく、造り手の言葉。その言葉を相手の言語で届けられたことが、今年一番費用対効果の高い一手でした。

自分の映像で試すなら、ここから:FreeLipSync で録画映像を多言語化する →


Sources