FreeLipSync のエディタ。写真を1枚アップして、テキストか音声を入れると、その顔がしゃべり出す。ツールとしてはこれだけ。
うちは駅から歩ける距離にある銭湯だ。ここ数年、脱衣所で聞こえる言語が一気に増えた。ありがたい話だけど、正直、番台まわりはけっこう大変になった。
理由はシンプル。「入浴マナー」は貼り紙では伝わらないからだ。かけ湯をしてから湯船に入る、タオルは湯に浸けない、体を洗ってから浸かる、写真撮影はダメ——日本人には当たり前でも、銭湯文化に馴染みのない旅行者には「なぜ?」の連続。英語の注意書きを増やしても、そもそも読まれない。読んでも、細かいニュアンスが抜ける。
一度のトラブルで、その人の日本の思い出が「気まずい風呂」になる。それは避けたかった。
先に結論
解決策は、注意書きを増やすことじゃなかった。短い「しゃべる動画」だ。自分で日本語で一度しゃべって収録し、FreeLipSync で自分の顔のまま、相手の母語で話させる。英語・中国語・韓国語・タイ語——どれでもいい。無料、透かしなし、登録不要。インバウンドを取りにいく小さな施設なら、今年いちばんコスパのいい一手だと思う。
2026年、銭湯にインバウンドの波が本格的に来ている
気のせいじゃない。東京都は2026年、外国人観光客の利用を後押しする「WELCOME! SENTO キャンペーン」を都内の銭湯と連携して展開していて、多言語の接客・多言語の案内サイン・キャッシュレス決済・アメニティ整備をモデル要件に掲げている。前年から利用者が倍増した店舗まで出ている。都心の駅近スーパー銭湯やサウナも、旅行者に人気だ。
つまり、**お客さんはもう来ている。**あとは「安心して正しく入ってもらえるか」だけ。そこで詰まると、せっかくの追い風がクレームに変わる。
実際に何を作ったか
「言葉が通じずにヒヤッとした場面」を、ぜんぶ20秒の動画にした。
- 入口のウェルカム + 料金の払い方(靴箱、下足札、キャッシュレス対応)
- 入浴マナー動画(かけ湯 → 体を洗う → タオルは湯に入れない → 撮影禁止)
- サウナ・水風呂の使い方と、混雑時のちょっとしたお願い
流れは軽い。日本語で一度しゃべって収録 → 原稿を FreeLipSync に貼る → 言語を選ぶ → 自分の写真や短い動画に口の動きが合って、**「自分本人が英語やタイ語で説明している」**映像になる。対応は500以上の言語とアクセント、1本およそ30秒で書き出せる。通訳を出演させる必要も、撮り直しもない。
顔をアップ → テキストか音声を入れる → 生成。最初の1本は、番台に座ったまま作れた。
無料プランが、ちゃんと「使える無料」だった
「無料=お試し版」なツールにはうんざりしている。FreeLipSync の**無料プラン($0・ずっと無料)**は、実務で回せるやつだった。
- 1本 最長20秒——「ひとつのことを伝える」のにちょうどいい長さ
- 1本あたり 133文字のテキスト読み上げ(TTS)
- 出力に透かしなし
- 同時に1本ずつ、登録もカードも不要
20秒を甘く見ちゃいけない。「ようこそ。ご入浴の前に、まず桶でかけ湯を。体を洗ってから湯船へ。タオルはお湯に入れないでください。ごゆっくりどうぞ!」——これで用は足りる。うちのマナー動画の基本セットは、全部この無料プランで作った。
もっと長い館内案内をまとめて何言語も作りたくなって、上のプランにした。Starter は月4.99ドル(通常9.90ドル・50%オフ)で、月20本のPro動画・最長3分・800文字・同時3本、声を統一できるボイス枠つき。Pro は月29.99ドル(通常69ドル)で本数無制限・最長60分・優先レンダリング——これはチェーン向け。うちみたいな一軒なら、無料+必要なときだけ Starter で十分だ。
同じ顔、同じ雰囲気で、言語だけ変わる。お客さんが「おっ」と反応するのは、まさにここ。
ここは崩さない、というライン(あなたにもおすすめ)
しゃべる動画は、歓迎・マナー案内・雰囲気づくりのためのもの。金額や規約を保証する道具じゃない。だから次のことは、動画の外に置いている。
- 料金・キャンセル規定・免責事項は、書面(人がチェックした翻訳)に。動画では「これからご案内します」までにして、拘束力のある条件をAI音声に入れない。
- 安全にかかわる案内(高温・のぼせ・体調)は、最終的に館内の正式表示とスタッフの声かけで。動画は入口のきっかけ。
- 大事な文言は、その言語がわかる人にもう一度見てもらってから出す。AIは雰囲気づくりは得意でも、コンプラ担当ではない。
この線を守るからこそ、動画がトラブルの元ではなく信頼の入口になる。
こんな施設に向いている
銭湯、スーパー銭湯、サウナ、日帰り温泉、旅館の大浴場——お客さんの母語がバラバラで、貼り紙が読まれにくいなら、これはほぼ無料の「おもてなし」アップグレードだ。常連さんのことはもう顔で分かるはず。この一手は、まだ言葉の通じない旅行者に、再生ボタンを押した瞬間「ここは大丈夫そうだ」と感じてもらうためのものだ。
おわりに
「言葉が通じないのは、下町の風呂屋の宿命」だと、長いこと思い込んでいた。違った。それは、まだ見つけていなかった20秒の解決策だっただけ。多言語のマナー動画を入口に置いてから、脱衣所のヒヤッとが目に見えて減って、「あの動画で分かったから安心して入れた」と言ってもらえるようになった。
まずは無料プランで、いちばん困っている言語のマナー動画を1本。次に来た旅行者にQRで見せてみてほしい。試すコストはゼロだ。
👉 freelipsync.com で最初のしゃべる動画を無料で——登録なし、透かしなし。
