和菓子店の「いらっしゃいませ」を、録音した声のまま多言語に——うちのインバウンド接客の話

田中 芽衣田中 芽衣著
8/15/2026に公開12 min read
和菓子店の「いらっしゃいませ」を、録音した声のまま多言語に——うちのインバウンド接客の話

FreeLipSync——無料の AI リップシンク生成ツールのトップページ FreeLipSync のエディタ。女将の写真と、録っておいた音声を入れるだけで、写真が多言語で話し出す。撮影クルーも、録り直しもいらない。

小さな老舗の和菓子店をやっています。2026 年、インバウンドの回復で店先の景色がすっかり変わりました。訪日客はまた過去最高を更新する勢いで、和菓子は「日本の四季を食べる体験」として海外のお客さまにすごく喜ばれる。ただ——季節の上生菓子を前に「これは何ですか」と英語や中国語で聞かれるたび、店の者が同じ説明を一日に何度も、片言で繰り返している。多言語対応はもう必須、というのは頭では分かっていました。

そこで今年から、女将の写真に、あらかじめ録っておいた挨拶の声をのせて、それを各言語で話す短い動画を作るようにしました。撮影は一切していません。その作り方を書きます。


先に結論

和菓子店でインバウンド接客に困っているなら、必要なのは「撮影」でも「通訳の常駐」でもありません。女将や職人の写真一枚と、録っておいた挨拶の音声があれば十分です。うちは FreeLipSync の音声から写真を話させるツール で、同じ女将の写真を各言語で話す「ようこそ」動画にしています。同じ笑顔、同じ声のトーン、言語だけ切り替わる。まずは無料で最初の一本を作ってみてください——次の連休の混雑が来る前に。


困っているのは「言葉」より「最初のひと言」

2026 年のインバウンド集客ガイドはどれも同じことを言います。多言語対応と、Google ビジネスプロフィールや口コミサイトの整備は、もう当たり前の下地。英語・中国語は必須。そのうえで、体験としての満足度が勝負を分ける、と。

紙の多言語メニューはもちろん役に立ちます。でも「季節の和菓子はこういう楽しみ方ですよ、お茶と一緒にどうぞ」と、女将がその人の言葉で迎えてくれる——あの安心感は、翻訳カードでは出せません。慣れない土地の、慣れない和菓子屋の暖簾をくぐる最初の数十秒。そこで「歓迎されている」と感じてもらえるかどうかが、その日の体験ぜんぶを決めてしまう。

ひとり和菓子屋でも回るやり方

肝はひとつです。言語ごとに録り直さない。挨拶は一度だけ録る。

まず、女将の感じのいい写真を一枚。そして「ようこそ、本日の上生菓子はこちら、お召し上がり方はこう」という短い挨拶を、日本語で一度だけ録音します。その音声のスクリプトを、うちに来られるお客さまの言語に訳し、同じ写真がその言語で話す動画をそれぞれ生成する。これだけです。

FreeLipSync の使い方——三ステップ 写真を入れ、音声を入れ、生成する。ひとつの挨拶が、そのまま各言語の「ようこそ」に。

使っているのは FreeLipSync の「音声から話す写真」。写真と音声を渡すと、口元を合わせて話す動画にしてくれる。公金でも大きな予算でもなく、自分の財布でやっている身として何より助かるのは、無料枠がちゃんと実用になること。永久に $0、登録不要、カード不要、動画は 1 本あたり最長 20 秒、音声合成は 133 文字、透かしなし、同時生成は 1 本。 「ようこそ、本日はこちらを」という短い挨拶なら、無料枠だけで足りることが多いです。

季節ごとの長めの案内をまとめて作るときだけ、上の段に上げます。Starter は月 $9.90(月 20 本の Pro 動画、最長 3 分、800 文字、同時 3 本、HD ダウンロード)。Pro は月 $69.90(Pro 動画は無制限、最長 60 分、16,000 文字、同時 10 本、優先レンダリング)——お盆や紅葉の繁忙期に、複数言語をまとめて作るときだけ頼っています。単発なら $4.99 の買い切り Creator Pack もあり、年払いにすると 17% 安くなります。

FreeLipSync の料金——Free・Starter・Pro 短い挨拶は無料枠で。複数言語の長めの案内をまとめて作るときだけ課金しています。

そして本当の強みは言語の幅。写真一枚から 500 以上の言語とアクセント。うちの来店客の言語リストなど、軽く超えています。

FreeLipSync の多言語——ひとつの顔で、たくさんの言語 同じ女将、500 以上の言語とアクセント。定型の案内が、その人だけへの挨拶に変わる瞬間です。

正直な限界

この動画が得意なのは、挨拶・季節の菓子紹介・楽しみ方のひと言まで。値段や、賞味期限、アレルギー(原材料)、支払い方法、緊急時の対応といった「間違えたら困る」情報は、動画に喋らせません。公式ページ・店頭表示・お品書き・口頭で、書面としてお伝えします。翻訳も必ず人の目を通す——和菓子の名前や作法は、機械翻訳の「だいたい合ってる」では失礼になりかねないので。女将本人の顔と声を使うのも、当然ながら本人の同意のうえで。動画の仕事は「歓迎」と「わかりやすさ」。責任のかかる情報は、あるべき場所に置いておきます。

ほかに試したもの

一社だけ試したわけではありません。HeyGen や Synthesia の多言語アバターはよくできていて実力もあります——ただ無料枠が薄くて透かし入り、席数課金は個人店には重い。翻訳アプリ(DeepL や Google 翻訳+レンズ) は対面のとっさの会話には本当に便利で、うちも併用しています——でも、来店前に「観に行こう」と思わせる、繰り返し見られる短い歓迎動画にはなりません。「録った挨拶を、透かしなしで各言語の話す写真にする」という一点では、FreeLipSync がいちばん安く上がりました。

誰に向くか

制作会社と契約している大きな観光施設なら、既存の流れを使えばいい。うちのように、女将が接客も仕込みも SNS も一人でやっている店なら——写真を一枚撮って、挨拶を一度録って、まずは無料で言語をそろえてみる。個人店にはこれが現実的だと思います。

おわりに

今年いちばん嬉しかったのは、台湾から来られたお客さまが、中国語の歓迎動画を見て「まるで前から知ってるお店みたい」と笑ってくれたこと。和菓子は、四季と、ちょっとした心づかいを食べるもの。せっかく暖簾をくぐってくれた人を、言葉のせいで置き去りにしたくない。ただそれだけです。

繁忙期の前に試すなら、FreeLipSync の「音声から話す写真」で最初の歓迎動画を無料で作ってみてください——写真一枚、録った挨拶ひとつ、あとは言語を選ぶだけ。


参考